ドリル抱きしめたい思い
チリ北部サンホセ鉱山の落盤事故で、地下七百メートルの避難所に閉じ込められた三十三人の作業員のうち、最後に救出されたルイス・ウルスアさんは十三日夜(日本時間十四日午前)、ピニェラ大統領に「(救助のための)掘削ドリルを見た時、誰もがドリルを抱き締めたい思いだった」などと、避難所内部での心境を語った。十四日付のチリ有力紙メルクリオ(電子版)が報じた。
掘削ドリルは事故発生から十七日後の八月二十二日朝、避難所に到達。引き上げた時に作業員のメモ二通が付いており、三十三人の生存を確認する決め手となった。
同紙によると、ウルスアさんは、作業員らがドリルに一枚だけでなく何枚もメモを張り付けようとしたことを明かした。仲間の一人は「パパ、ここから出して」などと書いたという。
ウルスアさんら救出された三十三人は十四日未明までに、約五十キロ離れたコピアポ市内の病院に全員搬送された。また、救出カプセルの乗り方などを指導するため地下に入った救援隊員も同日午前零時(日本時間同日正午)すぎに全員が地上に帰還。大統領は国営テレビに一連の救出作業の費用が一千万~二千万ドル(約八億~十六億円)だったことを明らかにした。