救助員マヌエル・ゴンサレス氏が一番えらい
深さ700メートルの地下から縦穴を使って作業員を引き上げる――。チリのサンホセ鉱山で繰り広げられている救出劇は、史上例を見ないような人命救助作戦だ。夜を徹しての作業を担う救出専門家や看護師のチームは慎重に作業を進めながら、静かに興奮を味わっている。
引き上げは13日午前(日本時間13日夜)までほぼ40~50分に1人のペースで順調に進んでおり、同じペースで進めば、14日午前0時(日本時間同日正午)までに最後の一人が地上に出る可能性が高まっている。救出作業は33人全員を引き上げるまで休みなしで続けられる。救助カプセルを動かす作業に携わるのは、チリ銅公社(CODELCO)の救出専門家や軍の看護師など総勢約30人。12時間交代のシフトを組んで作業に当たっている。
CODELCOチームの1人が、最初に救援カプセルに乗ったマヌエル・ゴンサレス氏だ。鉱山事故の救出では20年の経験があるベテラン。全員を救出するまで地底にとどまり、作業員に必要な指示を与える。「幸運を祈ってるぞ」。地上で待機する救援チームのメンバーに声をかけられ、「じゃあ、後で」と言って縦穴の中に姿を消した。
地下に下りるのに16分、最初に救出されたフロレンシオ・アバロスさん(31)がカプセルに乗ってから地上に上がるのに15分。ほぼ事前の想定通りのペースだったが、地上のチームには長い時間に感じられたようだ。足踏みしたり、縦穴をのぞきこんだりと、落ち着かない様子が中継映像を通じても伝わってきた。
「ウィンウィンウィン……」。カプセルが地表に近づいたことを知らせるサイレンの音が響き、やっとほっとした表情が浮かんだ。カプセルの先端が顔を見せたときには、中継映像のカウンターは作業開始から51分30秒を示していた。
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