福永祐一騎手 「父への手紙」
2010年05月11日
父さん、元気ですか。
僕は元気でやっています。
成長はもう止まったみたいで、体重の増える心配はないようです。
でも、もう少し身長が欲しかったな、とも思います。
学校での生活も2年生の半ばが終わり、走路騎乗を始めて半年以上になります。
少しずつ競走の姿勢や鞭の使い方がわかってきました。
最近では発走の練習や追い切りのメニューが加わり、楽しくてしようがありません。
落馬には注意していますが、すでに何度か落ちています。
最近は御守りをつけて乗っています。
不思議とこの御守りをつけてからは、落馬の回数が少なくなりました。
父さん、先日、また「セントウルへの道」(注、昭和52年に人馬一体にいちばん近い騎手として
福永洋一を撮った映画。芸術祭優秀賞受賞)を見てしまいました。
走路騎乗を始めるようになってからは、騎座、脚、拳、腕、鞭の使い方などを注意して見るようになりました。
父さんの安定した騎座、リズムのいい鞭の使い方を見て、
やっぱり、すごい騎手だったんだ、と見るたびに感動してしまいます。
今までは、周囲の人が父さんのことを凄い乗り役だった、と言うのは聞いていましたが、
ぼく自身、父さんの騎乗について、どこが凄いのかよくわかりませんでした。
でも、実際に自分が馬に乗り、その難しさを知って改めて父さんの凄さがわかりました。
そしてまた、僕が騎手になってレースに乗るようになると、父さんの凄さをまた思い知る、そんな予感もします。
それはうれしいことであり、また恐いような気もします。
僕は二つの面で父さんを尊敬しています。
一つは騎手としての福永洋一、もう一つはリハビリと戦うお父さん。
僕はリハビリと闘っている父さんしか知りません。騎手としての父さんは、ビデオや本でしか知ることができません。
でも同じ道を目指して競馬学校に入学し、父さんのビデオをくり返し見て、
騎手としての福永洋一を心から尊敬するようになりました。
「あなたの目標とする騎手はだれですか」と聞かれたら、今ならきっと「福永洋一です」と答えることができます。
父さん、9月半ばごろからトレセン実習が始まります。
お世話になる厩舎も決まりました。そのとき、ゆっくり会えます。楽しみにしていて下さい。母さんによろしく。
祐一。
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2010年、5月10日。息子は、父親の名前を冠にしたレースを開催した。父親の故郷である高知競馬で。
僕は元気でやっています。
成長はもう止まったみたいで、体重の増える心配はないようです。
でも、もう少し身長が欲しかったな、とも思います。
学校での生活も2年生の半ばが終わり、走路騎乗を始めて半年以上になります。
少しずつ競走の姿勢や鞭の使い方がわかってきました。
最近では発走の練習や追い切りのメニューが加わり、楽しくてしようがありません。
落馬には注意していますが、すでに何度か落ちています。
最近は御守りをつけて乗っています。
不思議とこの御守りをつけてからは、落馬の回数が少なくなりました。
父さん、先日、また「セントウルへの道」(注、昭和52年に人馬一体にいちばん近い騎手として
福永洋一を撮った映画。芸術祭優秀賞受賞)を見てしまいました。
走路騎乗を始めるようになってからは、騎座、脚、拳、腕、鞭の使い方などを注意して見るようになりました。
父さんの安定した騎座、リズムのいい鞭の使い方を見て、
やっぱり、すごい騎手だったんだ、と見るたびに感動してしまいます。
今までは、周囲の人が父さんのことを凄い乗り役だった、と言うのは聞いていましたが、
ぼく自身、父さんの騎乗について、どこが凄いのかよくわかりませんでした。
でも、実際に自分が馬に乗り、その難しさを知って改めて父さんの凄さがわかりました。
そしてまた、僕が騎手になってレースに乗るようになると、父さんの凄さをまた思い知る、そんな予感もします。
それはうれしいことであり、また恐いような気もします。
僕は二つの面で父さんを尊敬しています。
一つは騎手としての福永洋一、もう一つはリハビリと戦うお父さん。
僕はリハビリと闘っている父さんしか知りません。騎手としての父さんは、ビデオや本でしか知ることができません。
でも同じ道を目指して競馬学校に入学し、父さんのビデオをくり返し見て、
騎手としての福永洋一を心から尊敬するようになりました。
「あなたの目標とする騎手はだれですか」と聞かれたら、今ならきっと「福永洋一です」と答えることができます。
父さん、9月半ばごろからトレセン実習が始まります。
お世話になる厩舎も決まりました。そのとき、ゆっくり会えます。楽しみにしていて下さい。母さんによろしく。
祐一。
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2010年、5月10日。息子は、父親の名前を冠にしたレースを開催した。父親の故郷である高知競馬で。
Posted by 編集長 at 17:08│Comments(0)
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