県職員採用試験を突破
2010年11月21日
大学生のころ全盲となり、現在「県視覚障害者の就労を促進する会」会長の吉岡邦広さん(32)=高知市=が19日、身体障害者を対象とした県職員採用試験に合格した。
点字試験導入を求めて請願活動を行い、導入が実現した08年度から毎年挑戦していた。点字試験での合格者は県内初。吉岡さんは「視覚障害者でもしっかり仕事ができることを証明したい」と笑顔で話した。
「まずは行政がしっかりしないと。当事者として、中に入って変えていきたい」。障害者雇用を進めたいとの思いで、3年の浪人生活を耐えてきた。1日平均6時間してきた勉強は、今年の夏ごろから2時間増。挑戦し続けた理由は、もう一つ。「ただ、働きたい」。職に就けず、社会の中で自分の居場所を見失いそうになることもあった。
幼少のころ、白血病の治療時の副作用で緑内障に。右目が見えなくなった。左目の視力も少しずつ低下していく。高知大に入ったが、レーザー治療など治療との両立が難しく、2年生になる前に休学。見える期間と見えない期間が繰り返しやってくる中、完全に光を失った。
京都ライトハウス(京都市)でリハビリを受けた。「自分は卒業できるのか」。迷っていると、父一之さん(64)が言った。「結果はどうであれ、頑張っているところだけ見せてくれたらいい」。真っ暗闇の中、一歩、また一歩と踏み出せた一言だった。
05年に卒業後、大阪で就職活動を始めたが、壁が立ちはだかった。「企業側が障害の種類で応募の可否を決めている」。採用状況を問い合わせた約200社のうち、応募できたのは10社程度。結局就職できず県内に戻った。この経験から、08年に県内の視覚障害者らとともに「促進する会」をつくり、県職員採用試験などに点字試験導入を実現させる運動を続け、点字試験の門戸を開いた。
試験は2年連続で不合格。今年は、高知市立高知点字図書館のボランティアが試験対策用の参考書3冊を「そのまま試験に使えるほどきれいに」点訳してくれた。10月に1次試験を突破、今月6日に2次を終え、手応えと不安が入り交じったまま合格発表の日を迎えた。
午後5時。県庁玄関ホールの掲示板に紙が張り出された。室戸市から駆けつけた母由加里さん(56)が受験番号「3」を見つけ、「あった!」。涙をこらえきれず、「良かった。ありがとうございます」と何度も繰り返した吉岡さん。「大変な道だった。一緒に頑張ってくれた人たちのおかげです」と語った。
県によると、今年度の身体障害者を対象とした県職員採用試験の1次受験者は「行政」「学校事務」合わせて22人。点字試験での受験者は吉岡さんのみだった。県は、点字試験受験者には学校事務志望を認めていない。
点字試験導入を求めて請願活動を行い、導入が実現した08年度から毎年挑戦していた。点字試験での合格者は県内初。吉岡さんは「視覚障害者でもしっかり仕事ができることを証明したい」と笑顔で話した。
「まずは行政がしっかりしないと。当事者として、中に入って変えていきたい」。障害者雇用を進めたいとの思いで、3年の浪人生活を耐えてきた。1日平均6時間してきた勉強は、今年の夏ごろから2時間増。挑戦し続けた理由は、もう一つ。「ただ、働きたい」。職に就けず、社会の中で自分の居場所を見失いそうになることもあった。
幼少のころ、白血病の治療時の副作用で緑内障に。右目が見えなくなった。左目の視力も少しずつ低下していく。高知大に入ったが、レーザー治療など治療との両立が難しく、2年生になる前に休学。見える期間と見えない期間が繰り返しやってくる中、完全に光を失った。
京都ライトハウス(京都市)でリハビリを受けた。「自分は卒業できるのか」。迷っていると、父一之さん(64)が言った。「結果はどうであれ、頑張っているところだけ見せてくれたらいい」。真っ暗闇の中、一歩、また一歩と踏み出せた一言だった。
05年に卒業後、大阪で就職活動を始めたが、壁が立ちはだかった。「企業側が障害の種類で応募の可否を決めている」。採用状況を問い合わせた約200社のうち、応募できたのは10社程度。結局就職できず県内に戻った。この経験から、08年に県内の視覚障害者らとともに「促進する会」をつくり、県職員採用試験などに点字試験導入を実現させる運動を続け、点字試験の門戸を開いた。
試験は2年連続で不合格。今年は、高知市立高知点字図書館のボランティアが試験対策用の参考書3冊を「そのまま試験に使えるほどきれいに」点訳してくれた。10月に1次試験を突破、今月6日に2次を終え、手応えと不安が入り交じったまま合格発表の日を迎えた。
午後5時。県庁玄関ホールの掲示板に紙が張り出された。室戸市から駆けつけた母由加里さん(56)が受験番号「3」を見つけ、「あった!」。涙をこらえきれず、「良かった。ありがとうございます」と何度も繰り返した吉岡さん。「大変な道だった。一緒に頑張ってくれた人たちのおかげです」と語った。
県によると、今年度の身体障害者を対象とした県職員採用試験の1次受験者は「行政」「学校事務」合わせて22人。点字試験での受験者は吉岡さんのみだった。県は、点字試験受験者には学校事務志望を認めていない。
Posted by 編集長 at 01:16│Comments(0)